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12月葉ボタン

12月葉ボタン

正月飾りや冬花壇に欠かせない植物です。
葉牡丹は牡丹の代わりに使われてきたとされています。
昔は寒い時期11月中旬~2月下旬にかけて咲く牡丹(寒牡丹)をお正月の縁起花として飾っていました。

牡丹は別名富貴花と呼ばれ花の王様、百花の王とも呼ばれ、貴重でおめでたい花です。
葉牡丹は牡丹とよく似ていることから、江戸時代には正月飾りとして親しまれていたという記録があります。
お値段が安く育てよい、また重なり合った葉が牡丹の花のように美しい事から牡丹の代用品として広く広まったとされています。

ハボタンは、アブラナ科、アブラナ属の耐寒性園芸植物です。学名は、Brassica oleracea var. acephala(ブラシカ オレラセア 変種 アセファラ)です。属名Brassicaは、キャベツの古いラテン名です。ケルト語でもキャベツをbresicといいます。種小名のoleraceaは、“畑に栽培の”を意味します。変種のacephalaは、 結球しないことを示す“無頭の”という意味です。
このように、ハボタンは、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、コールラビー、ケールなどとごく近縁の植物です。

ハボタンやキャベツの原種は、地中海沿岸原産のケール(和名はハゴロモカンラン、英名はKale)といわれています。
ケールは、葉全体が縮れた、非結球性の野菜です。
一年中栽培でき、収穫量が多く、葉は栄養豊富、特にビタミン類の含有量は緑黄色野菜の中で最も多いとされています。
料理にも用いられますが、主として青汁用に栽培されています。

ハボタンの原型は、ケールを基本タイプとして、ヨーロッパで作出されたと考えられます。しかし、ヨーロッパでは、野菜としてのキャベツなどの品種改良に力が注がれ、鑑賞用としてハボタンを品種改良することはほとんど行われなかったようです。

日本には、江戸時代の中期(1700年代初頭?)に、オランダから現在のハボタンの基本タイプである植物が渡来したと考えられます。
貝原益軒は、宝永6年(1709年)の「大和本草」に、緑色のものを“オランダナ”(多分、非結球タイプのケールと想像される)として記載しています。
これは、まだ緑色ですが、ハボタンの原型が日本で記載された最初のものではないかと考えられます。
その後、1778年になると、山岡恭安が著した「本草正正譌(ほんぞうせいせいか)」の中に、夏に葉が緑色で、冬に紫色に変化する“ボタンナ(牡丹菜)”が登場します。
この時代までくると、現在のハボタンに近い特徴を持った品種が存在していたようです。この“ボタンナ”が、日本で品種改良されたものか、ヨーロッパから渡来したものかは定かでありません。

その後、200年余りの間、東京の鹿骨(ししぼね)を中心とした切り花や鉢物の産地で、ハボタンの選抜育種が繰り返され、江戸時代には、葉の縁の縮みがまったくない紫色を帯びた濃赤色の品種が、後に白色の品種が作出されていたようです。
これが、さらに改良され、現在の“東京丸葉”系のハボタンとなります。

これに対して、葉に縮みのある“名古屋ちりめん”とよばれる系統は、ケールの一品種で、著しく縮んだ葉をもつ“サイベリアン”との交雑から生まれたとされています。

“東京丸葉”系は、耐寒性がありますが、“名古屋ちりめん”系は、やや寒さに弱い傾向があります。
また、“大阪丸葉”系は、“東京丸葉”と“名古屋ちりめん”の中間形です。

従来のハボタンは、葉の“縮み”の程度で区別されていましたが、1977年に新しく、“さんご”系が作出されて脚光をあびました。
“さんご”系は、京菜との交雑によって作出されたそうです。“さんご”系には“紅さんご”“白さんご”があり、葉がアザミの葉のように細長く切れ込んだ、新しいタイプのハボタンです。耐寒性が強く、寒い地方でも栽培できる特徴があります。

ハボタンの葉の色は、夏から初秋はキャベツと同じ緑色ですが、初冬の気温低下で中心部から色づきはじめ、木枯らしの吹く季節に白、黄、赤紫、淡紅に変色し、周辺部の緑色葉と中心部の着色した葉のコントラストが美しく、花壇などで艶やかさを競います。
しかし、鮮やかに着色した部分も、0℃以下の低温に弱く、霜などにあてると褐色に変色してしまいます。
また、沖縄などでは高温のため着色しないし、暖房した室内に早くから取り込むと着色しません。

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