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5月カシワ

5月 カシワ

カシワと言えば、やはり、5月の節句に食べられる柏餅がなじみ深い。
柏餅が端午の節句の食べ物として定着したのは江戸時代中期でそれほど古い話ではありません。
柏餅は上新粉で作ったお餅で餡をくるみカシワの葉で包んだ、日本独自のお菓子です。
どうしてカシワの葉を使ったのでしょうか。
カシワの葉が大きくて、若い葉の表面は短毛が多く、餅がつきにくいというもありますが他にもいろいろないわれがあります。

まず、柏餅の名前の由来は形にあります。
現在は平たい丸形ですが元来しんこ餅を平たくし、中に餡を入れて畳んだものです。
その形はハマグリのような形で作る際に両手を体の真ん中で拍手(かいわで)を打つような様から名付けられました。
元来、柏手(かしわで)は神様に礼拝するときに行います。
また、カシワの葉は神のお供え物を盛り付ける食器として使用され、炊葉(かしきは)と呼ばれてカシワの木の名前の由来になっています。

次に、カシワの木は落葉樹で秋には葉は茶変するが冬になっても落葉しない。春に新しい芽が出るまで枝についていて葉は落ちない。
このことから、子が生まれるまで親は死ぬことがない、家系が途絶えない、子孫繁栄の意味合いが縁起物の葉として使われたのです。

冬季のカシワの葉

また、カシワの葉には抗菌・防腐作用と葉の香りの成分フイトンチッドには精神を安定させる効果と疲労回復の効果があります。
樹木が成長する過程で葉、枝に傷がつくと、その際、傷部に、バクテリアを排除するための自浄効果として、揮発性物質(C10H16等の化学式をもつテルペン系物質)を発散させている。森林に入ると香りがするのは、薬理効果をもつテルペン系物質のためである。
 人間がこれを吸うと、自律神経が刺激され、内分泌が盛んになり、体調を整え、神経系、精神安定に効果があるので、森林浴が注目されている。
 柏餅の葉で餅を包むのは、葉から放出されるテルペン系物質による殺菌効果を利用し、食物を腐りにくく保存した昔からの生活の知恵である。

ブナ科。落葉高木。日本各地の温帯林に広く分布する。  
北海道では海岸沿いに低木林をつくる。
万葉の時代には、クヌギやナラとともに「ハハソ」と呼ばれていた木だが、いつのころからかカシワと呼ばれ、柏の字があてられた。

しかし、カシワの漢字は槲である。一般に柏と書かれるが、中国では柏とは針葉樹のヒノキ科のビャクシン類、ネズコ類などでまったく別の種である。
落葉広葉樹の高木で、高さ15メートル、直径50センチに達する。枝は太く、枝分かれしやすいため、樹冠は大きくなる。
樹皮は灰黒褐色で、縦に深くさける。

厚いコルク質の樹皮を持つカシワは、野火にも抵抗力があり、山火事のあとにも生き残る。
北海道東部の五、六月は非常に乾燥し、しばしば自然発火が起こるが、カシワだけが生き残り、点々とカシワだけが生育している。

北海道にはかってカシワの大森林があつたが、多くは開墾のため伐採された。
また、樹皮には15%程度のタンニンを含み、わが国の重要なタンニン原料であった。
カシワの樹皮から採れるタンニンは最高級品で、北洋漁業の網の染色や皮なめしに大量に使われた。
当時の北洋漁業は国家的な輸出産業で、得た外貨は富国強兵につぎ込まれた。
タンニンは軍靴や軍装の革製品製造にも不可欠で、これがカシワの伐採をより促した。
そのために、北海道のカシワは著しく減少した。
 
カシワの枯葉は冬期も落ちないで、翌年の春まで枝に残るのが特徴である。木枯らしに吹かれ  カサカサと鳴る、カシワの枯葉には捨て難い風情がある。

カシワは、水の通り道である大形道管が春先に年輪に沿って環状に並ぶ環孔材で、木目がはっきりし、重く堅いので、建築材や家具材などに用いられる。
変わった用途としてウイスキーやぶどう酒等の樽材に利用している。

ナラガシワ
葉の感じがよく似ているが,カシワに比べ葉柄が長い。
殻斗の総苞片は鱗状。

ミズナラ
カシワよりも標高の高いところに多く,葉の感じはよく似ているが,カシワよりも鋸歯がするどい。殻斗の総苞片は鱗状。

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